糞尿譚
立ちションや、野グソの自由は?
飼い犬は、家の中では、トイレで用をたす。賢いね~
家の外では、原則自由です。野グソは飼い主が処理する・・・
野生動物は、原則自由です・・・
<う ん こ 本>
「糞尿譚」火野葦平
すると、花火があがって、何かふつふつとたぎるような音がしはじめ、眼下に見下ろされる町の中から叫喚の声がとどろきはじめると見る間に、町は沸きたち、あふれ上ってきた黄金の糞尿の流水の中に沈みはじめた。溺れ、救いを求める人々の中に、彦太郎は、汲取り方が悪いから金を払わんと云った会社員の顔や、家族が減ったから十銭引きなさい、でなかったら他の者に頼むから、と云った果物屋の主婦さんの顔や、を見た。ごうごうと音立てて溢れたつ糞尿の中に、またたくうちに町は沈没してしまい、折から上ってきた太陽が黄金の上に反射して美しくかがやいた。
「糞尿譚」は、‘兵隊三部作’などの戦争小説で有名な火野葦平作の短編小説であり、第6回芥川賞(昭和12年下半期)受賞作であります。
一般家庭の便所から糞尿を汲み取って買い上げ、それを農家に肥料として売ってわずかな口銭を得る…そんな商売が成り立っていた頃のお話。
主人公の彦太郎は糞尿汲み取り業の経営者。家運が傾いた豪農の息子である彼はトラックを購入するなどして近代的な事業としての肥え汲み業を始めます。しかし事業は思うようにいかず、山林田畑は抵当に入り、同業者との諍いや町内の政治的な対立になどに頭を悩ますことが多い。対立部落の人間から「ほれ見い、糞男が行くぞ」などと揶揄されもします。しかし「事業を守るため」いかなる卑屈も甘受し、町の顔役からの資金的な援助を取り付けてどうにか商売を続けていました。
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